「オーガニックってなあに？」…そうお子さんに聞かれた時、皆さんならどう答えますか？
「化学肥料や化学農薬を使わない農法のことでしょ」と思った方は、正解！
でも、実はそれだけではありません。

・化学肥料や化学農薬を使わず、自然界を汚染から守ること
・保存料や着色料などの添加物を減らし、食品の安全性を守ること
・自然の動植物を守り、生物多様性を大切にすること
・適地適作や地産地消を行い、地域の文化を守ること
・児童労働や植民地栽培の禁止など、健全な社会づくりに取り組むこと

これらすべてを含めて「オーガニック（＝有機）」と呼びます。
オーガニックは、「希望ある未来を創る」ことを目指しているのです。



※参照伊豆の国市有機農業推進協議会HP

伊豆の国市では、令和6年9月に『伊豆の国市有機農業推進協議会』を立ち上げ、『オーガニックビレッジ宣言』を行いました。
この協議会は、有機農業を実践する生産者の育成や、消費者と生産者が直接交流できるマルシェやイベントを開催し、地域ぐるみで有機農業を広げています。
そして、その一環として、学校給食にオーガニック食材を取り入れる活動が昨年から始まりました。
今年度は、市内の幼稚園・小中学校の全校で、12月5日を皮切りに1月・2月に『オーガニック給食』が提供されます。



◆市内全校統一メニュー（12月5日）
・鶏肉とサツマイモの揚げ煮
・卵とキクラゲのスープ
・有機ごはん
・みかん

◆有機の材料
・米・サツマイモ・キクラゲ・キャベツ・大根



昨年度からオーガニック給食に有機米を提供している、木内久見さんにお話を伺いました。
木内さんは、土作りや化学肥料・化学農薬の使用の低減を行う「環境にやさしい農業」を実践している、静岡県知事の認定の『エコファーマー』。
20年以上前から有機農法を続けてきている、この地域のレジェンド的な存在です。
そんな木内さんがオーガニック給食に提供している米は、完全に無化学肥料・無化学農薬で作られているといいます。
育てている品種は『にこまる』という昨今の高温にも耐えられる丈夫な品種で、今年の出来は一等米だそうですよ。楽しみですね！
木内さんの安心・安全な米作りは、種から始まります。
なんと温泉の中に種を入れて、種もみについている病原菌やカビを殺菌し、苗の病気を防いでいるのだとか。
また、発芽した苗を棒でなでることで、丈夫にさせるそうです。
農薬を使わないため、雑草を生やさない工夫も必要です。
田植え前には何度も代掻きをし、田植え後には手作りの米ぬか団子を田んぼに投げ入れて雑草の発芽を抑えます。
また、カメムシなどの害虫を防ぐため、虫の拠り所となる畦（あぜ）も綺麗に管理されているそうです。
こうしたひと手間、ふた手間が、お米をスクスク育ててくれるのですね。
そして木内さんの米作りの最大の特徴は、自ら考案した『ぼかし』と呼ばれる自家製堆肥を使用すること！
米ぬかや大豆カス、カキ殻・魚カス・菜種カス・もみ殻を混ぜ、土着菌やEM菌で発酵させた堆肥は、苗の根を大きくして強い株に育ててくれます。
「材料は身近なところで生産されているものを使って、いろいろ試したんですよ」と木内さん。
この堆肥は人から人へと広がって、稲と共にたくさんの笑顔も生んでいるそうです。
お話を聞いていて、木内さんは今でも「この品種ではどうか」「あの肥料ではどうか」と日々考え、挑戦を続けていることが伝わってきました。そして、これまでお会いした有機農法で作物を育てている伊豆の国市内の生産者の方々も、日々工夫と挑戦をし続けていることを思い出しました。
自然に向き合い、謙虚に受け止め、自分のできることを模索して実践を繰り返す姿に、こころから感銘を受けます。
私たちの身体は、毎日の食べ物でつくられています。
その食べ物が大地の循環の中で育った力強い作物だったなら、きっと私たちの身体も生きる力に満ちていくことでしょう。
特に成長期のこどもたちにとって、大きな支えとなると思います。
そしてオーガニックな社会を実現することは、こどもたちに希望ある未来を渡していくことだと思います。
私たちも、できることから始めていきたいですね！
最後に、木内さんからこどもたちへメッセージをいただきました。
「よく噛みしめて食べてほしい。田んぼを見たかったら、見においで。これからも美味しいお米を作っていくよ」。
木内さんの田んぼは、韮山時代劇場と蛭ヶ島公園の中間あたりにあります。
この看板が目印ですよ！
ぜひお子さんと一緒に探してみてくださいね。



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問合せ／農林課 055-948-1460